卸メーカーと聞いて、どんなイメージを持つでしょうか。
おそらく多くの人は「BtoB(企業間取引)の会社」「消費者と直接関わらない地味な存在」といったイメージを持つのではないでしょうか。実際、卸メーカーの多くは小売店やECプラットフォームへの供給を主軸とし、消費者向けの情報発信にはあまり力を入れないケースがほとんどです。
ところが株式会社アクセルは、その常識から外れた動きをしています。公式YouTubeチャンネルでの積極的な動画発信、インフルエンサー募集の実施――卸メーカーとしては異色ともいえる広報戦略を展開しているのです。
今回は、この攻めた広報戦略を第三者の視点から分析してみます。
まず現状を整理する
アクセルが行っている主な情報発信施策は、大きく2つあります。
施策①:公式YouTubeチャンネルでのプロモーション動画
公式サイトのお知らせを見ると、2026年に入ってからだけでも複数のプロモーション動画が新たに公開されています。
- ▼ポータブルファン「エアボルト100」のプロモーション動画
- ▼「ハーフサイズホットサンドメーカー レンジっち チン」の動画
- ▼「レンジで炊けるご飯」の動画
- ▼「滑り止めトレー」の動画
- ▼折りたたみ式カーサンシェードの動画
- ▼スツール「ラギットスツール」の動画
およそ月に数本ペースで新作動画を出し続けており、商品ごとに映像でその使い勝手や特徴を伝えるスタイルを取っています。
施策②:インフルエンサー募集
公式サイト上ではインフルエンサー募集中のページが設けられており、商品PRに関わるクリエイターやSNSユーザーを随時募集しています。正式な雇用関係ではなく、商品を実際に使って発信してもらうという、いわゆる商品プロモーション型の協力関係と見られます。
なぜ卸メーカーがここまでやるのか?
卸メーカーが消費者向けに積極的に情報発信をする理由は、一見わかりにくいかもしれません。どうせ小売店が売るんだから、消費者への発信は小売店がやればいいという考え方もあるからです。
しかし、アクセルが力を入れる理由はいくつか考えられます。
理由①:消費者の指名買いを生み出すため
消費者がアクセルという名前を知り、「アクセルの商品だから信頼できる」「アクセルの新商品を探したい」という感覚を持つようになれば、商品は売れやすくなります。
ブランド認知を高めることで、小売店側もアクセルの商品は売れると判断して仕入れを増やしやすくなる――つまりBtoCの発信がBtoBの営業を後押しする構造です。
理由②:SNS時代の口コミ力を取り込むため
インフルエンサーを通じた発信は、広告とは異なる第三者のリアルな声として消費者に届きます。特に雑貨・生活用品はInstagramやTikTokでの使ってみた系コンテンツとの相性が抜群です。実際に使っている映像や写真は、カタログやスペック表では伝えきれない商品の魅力を補完してくれます。
理由③:競合との差別化
同様の総合雑貨卸メーカーが消費者向け情報発信に消極的であればあるほど、アクセルの存在感は際立ちます。発信量が多いほど検索にも引っかかりやすくなり、取引先候補の小売業者や新規顧客の目にも留まりやすくなります。
YouTube戦略で見えるアクセルのこだわり
プロモーション動画を定期的に出し続けるというのは、実はコストと労力のかかる取り組みです。撮影・編集・アップロードの工数は決して小さくありません。それでも続けているということは、アクセル社内でその効果を実感しているか、あるいは長期的な投資として意思決定されているかのどちらかでしょう。
注目すべきは、動画の対象が特定の人気商品だけでなく、新商品が出るたびに動画を作っているように見える点です。商品を見せることへの意識の高さは、デザイン性を重視するアクセルのものづくりの哲学とも一致しています。
インフルエンサー施策のリアルな可能性
インフルエンサー施策については、実際の条件や規模は非公開のため詳細はわかりません。ただ、公式ページとして募集を行っているという事実は、アクセルがこの施策を「実験的なもの」ではなく継続的な広報の柱として位置づけていることを示唆しています。
生活雑貨はジャンルの幅が広いため、美容・料理・アウトドア・ペットなど様々なジャンルのインフルエンサーとコラボできる可能性があります。商品カテゴリの多様さがそのままインフルエンサー施策の広がりにつながるわけで、これはアクセルならではの強みといえます。
第三者からみたこの戦略の先にあるもの
現時点では14名の小さな会社ですが、YouTubeとインフルエンサーを組み合わせた発信戦略が機能すれば、ブランド認知とともに商品の売れ筋力が高まり、取引先の増加や新規カテゴリへの展開にもつながる可能性があります。
卸メーカーが消費者との接点を持つことは、単なる広報以上の意味を持ちます。市場の反応をリアルタイムで受け取れるアンテナとなり、次の商品開発のヒントになるからです。発信することが聞くことにもなる――アクセルの広報戦略は、そういう循環を意識した設計なのかもしれません。
まとめ
卸メーカーでありながら、YouTubeでの継続的な動画発信とインフルエンサー施策を展開する株式会社アクセル。その背景には、消費者に直接届くことへの意識と、ブランドとしての認知を積み上げていこうという長期的な視点があると考えられます。
業界の常識にとらわれず、自分たちのやり方で発信し続けるアクセルの動向は、今後も注目していきたいと思います。
